幼少のみぎり
いとこ(私の2歳年下)の子どもと久しぶりの対面をした。
彼女は1歳2ヶ月くらい…だと思う…。
あまり見たことのない私に、無遠慮に不機嫌な顔をする彼女に向かって、
私が「お前愛想が足りないよ。そんなんじゃエンターテイナーになれないよ」と
うりゃうりゃと手を出していると、横でメー子がため息をつきながらこう言った。
「あんたはね、この子と同じ歳の頃、会う人会う人に対して
『ブタ!』って言うようになって、とーっても大変だったのよ…」
相手の体が(少し)大きな場合もあったので、私がそう言う度に
メー子は身が縮まる思いをしたそうだ。無論私に覚えはない。
「あんたは赤ちゃんの頃2時間起きに泣いて私達を起こしてたし、
あー、だから今もあんたはあんまり寝ないんだわ!
そうそう、ちょっと夜風に当たっただけですぐ熱を出してたし、
それに頭が大きいから(君らのせいではないのか…?)転んだら
まずおでこにケガをするし、あーたらこーたら…」
メー子の話が止まらないので、私は生返事をしながら他のことを考え始めた。
私がしゃべり出したのは、11ヶ月の頃だったという。
「口から生まれた子ども」と周囲から言われ続け、そろそろ30年。
とにかくかわいくない子どもだったらしい。
今でも良く話されるエピソードがいくつかある。
・エピソード1
2歳の時に「お年はいくつ?」と聞かれ、指をピースの形にして答え、
「まあ、『ふたつ』なのね〜。おりこうさんね!」と言ったおばはんに、
「ふたつじゃないの。2さいです」と言った。
・エピソード2
4歳の頃、近所のお店におつかいに行き、帰ってきた時、
「今日はおじいちゃんが店番だったから、合わせてお天気の話をしてきたよ」
と言った。
何も文句を言われることはない。しっかりした娘さんだったんじゃないか。
うんうん。と、ひとりうなずいていると、足に妙な感触が…。
リリ(黒犬、♀、セブンティーン)が、すりすり身を寄せてきていた。
そっかー、お前はこの赤ん坊にお株を奪われっぱなしなんだね。
黒犬のはずなのに白犬のなりそこないみたいな色になっている彼女を
わしわしと撫でた。
お前がこんな白髪になってるんだもの。
私もこましゃくれたガキから、ひねくれた女子に成長するはずだよ。
メー子の「そろそろ行くわよー」という声に促されて、リリにバイバイをした。