犬と猫

少し前のこと。
夜ふけに帰ってきたら、玄関のドアの前に子猫が寝ていた。
茶トラだ。


あまりにも堂々と寝ているのが面白くて、しばらく観察していたら、
子猫が「ハッ!」と目を覚ました。
本当に音が出そうなくらい「ハッ!」という感じだった。


ちょっと寝ぼけていたが、やがて視界の中に私の姿を捉えたらしく、
ピューッと逃げた。
逃げた方向へ目をやると、物陰からこちらの様子を窺っていたきゃつと
再び目が合った。


あたしは、人間を小バカにしたような猫の態度が好きだ。
でも、きゃつはまだ幼くて、あんまり私のことをバカにできてなかった。


犬も猫も飼ったことはない。
特に好きなわけでも、嫌いなわけでもない。
でも、リリが死んだのはやっぱりちょっと悲しかった。