ちいさなひこうき1

ちいさなひこうきにのることになった。


いつもながらにギリギリチェックイン。係員が尋ねる。
「“通路側のお席"と“対面式で窓側のお席”とどちらがよろしいですか?」
ちょっと想像つかないと思うけど、このちいさなひこうきの最前列には
4人が向かい合わせで座ることができる席があり、満席の時に活躍する。
知らない人とは、膝をつき合わせるより肩を並べる方がいいので、
“通路側のお席"にしてもらった。ここに座るのは初めて。


すると、この席は非常口の横の席にあたるらしく、足下に荷物が置けないと言う。
「その大きな荷物は預けてください」と言われて困ってしまった。
私は出張でカメラを持ち歩くことがわりと多い。飛行機に乗る時、カメラは
手荷物として機内に持ち込み、足下に置くようにしている。当然だよね。


「いや、これカメラなので持ち込みたいんです。どうにかなりませんか?」と
お願いすると、しばらく考えたおじさんが「分かりました。もし空席があれば
その席に置き、なかったら足下に置いてください」と言い、私の搭乗券に
「機材持ち込みOK!」と手書きした。スペシャルな券だ…。三脚だけ預ける。


搭乗ロビーに入る前の手荷物検査でひっかかる。中身を出せと言われる。
X線で良く見えなかったので、中身を出してもう1度X線にかけたいらしい。
ちょっとカチンとくる態度だったので、「はいはいどうぞ」とバッグから、
EOS3のボディとレンズとスピードライトとハンディカムとバッテリー数個と
バッテリーチャージャーを急いで外に出して、急いできれいに並べてあげていると、
「す、すみませんでした。もうその辺で」と言われる。
ちぇっ。次はパンツでも出してやろうと思ったのに。


ひこうきに乗ると、アテンダントのお姉さんが「お客さま、その荷物は足下には
置けないんですよ」と優しく言ってくれたので、「ええ。でもカウンターで
こうこうこういうふうに言われたんですー」とにっこり笑って返すと、
お姉さんが思いっきり困った顔になって、その後あわあわしてかわいそうだった。


結局EOS3の入ったバッグは、“対面式で通路側のお席”つまり私の対面の
シートに座らせてもらうことができ、向かい合って空の旅を楽しみました。
しかしこのバッグくそ重かった。他にも荷物入ってたし。