予算

大学3年生の時、加藤秀樹の「予算編成論」という授業をとった。
毎回欠かさず出席をし、集中して話を聞き、ノートを取りまくった。
何のことはない。加藤先生が男前だったからだ。


この授業における「予算」とは、国や地方公共団体の「予算」のこと。
現状分析、問題提起、そして少し弱々しいソリューションの提示。
いくら当時一生懸命授業を聞いていたとは言え、今となっては
こんな授業だったかな、としか思い出せない。


ただ、一つだけ良く覚えている言葉がある。
それは、「予算減らしのインセンティブ」。
「予算額=歳出額」みたいな世界(そもそもそれに問題がある)の話なので、
「支出減らしのインセンティブ」でもいいかもしれない。


例えば、国や地方公共団体において
「100万円かかると言ってたお仕事を、70万円でやることができます(した)!」
「おー、ワンダフル!そいつはGJだ!」
というふうに評価する制度が今(少なくともその当時は)ない。
そういうふうに制度を変えていかないと、いつまでたっても無駄な予算は減らない。
現行制度だと、頑張った人が損をしたり、下手すると怒られちゃう。
ものすごくシンプルな例を一つあげるとそんな感じだったような…。
「何でそんなシンプルなことができないんだろう」と不思議でしょうがなかった。


加藤先生は大蔵省の主計官だった、確か。
そういえば私のゼミの先生も元官僚だった。
2人とももちろん行革を進める立場の人だったけど、彼らの話を聞いていると、
「内部の事情を知れば知るほど改革ってやりにくくなるんだろうな」とか
「内部にいれば本当の改革はできなくなっちゃうのかもしれないな」などと
感じることが多かった。彼らがそう言ったわけではないけど。


だから、改革は、内部の事情を良く知らない人が、内部の痛みを知ってしまう前に
思い切ってばっさりやる、という方法を取り入れるべきだと、その頃から考える
ようになった。
ただ、本当は、内部の事情を良く知った上できっちりやることができる人がいれば、
それが一番良いなあとは思う。
なぜなら、行政改革の場合は、思い切ってばっさり切った部分に、国民の最低限の
生活を保障するためのものがうっかり混じっちゃったりする恐れがあるから。
「良く知らないで切っちゃいました。すんません」じゃ許されないし。


何はともあれ、単年度会計はやめてほしいというnextさんの気持ちは良く分かる。
彼は、領収書で支払いができないことにもイラついていることだろう…。
http://www.tom.sfc.keio.ac.jp/~next/tdiary/?date=20051216#p04


なんて、姜尚中の本を読みながら加藤秀樹を思い出した私は悪い子ですか。