卒業式から考察するエロ

先日、会社でニュースを見ていると、高校の卒業式の映像が流れた。
溢れる涙をハンカチで押さえる女子高生が大写しになった。


「あたし、今まで出席した卒業式で泣いたことないから、
彼女達の気持ちが分からないんですよ」
仕事の話の合間に、電話の向こう側にいるおじさんにそう話した。


「あ、僕ね。娘の卒業式に出席したんですけど、びっくりしました。
男の子もワンワン泣いてるんですよ。しかもすごくガタイの良い子たちが」
という答えが返ってきた。


学ラン着た男子が卒業式でオイオイ泣く?
お前ら男塾に行け!
(また差別発言を…)


私が高校を卒業したのは10年前だけど、そんなことなかった。不思議。
と、また別の人と話していると、
「今の若い子は感動しやすい。というか感動するのが好きなんだよ。
感動する自分に感動するっていうか。あいのりとかまさにそうじゃない」


あいのり…。私が全く良さを理解できないアレか…。


誰でも簡単に「擬似体験→感動」ができちゃう仕組みが世の中に
溢れているのがその理由、という考えを聞きながら、思った。
最近でこそそんなに読まなくなったけど、小説なんてまさにその仕組み。
文字を読むだけで、その小説の主人公になりきれちゃうじゃない?
それって悪いことだとは思わないんだけど。


「だから、もっと簡単に、それができちゃうんだよ」

  1. 文字を読む
  2. 頭の中で内容を理解する
  3. 情景を膨らませる
  4. 主人公の擬似体験をする
  5. ああ、感動


最初の3つのステップをすっ飛ばしちゃうってことか。
な、なんてもったいない!一番おいしい妄想の部分を飛ばしてるじゃないか!
こんなことやってたらみんな想像力のないバカになっちゃうよ!


あ、ちゃんとこんなふうに考えたことはなかったけど、私が前から言ってた
「若い男子はAVから始めちゃダメ」説も同じことか。
最初はエロ小説か、それが無理ならエロ本から入るべき。
じゃないと、妄想力が高まらないと思う。


昔読んだ岡崎京子のマンガで、男子がエロ本見ながら
「草むらで薬師丸ひろ子を押し倒して…(これが一番興奮するパターン)」
って妄想するシーンがあって、うんうんそうそうって思った。


次の日、またニュースを見ていると、宝塚音楽学校の卒業式の映像が流れた。
卒業生に花を渡す在校生が、顔をくしゃくしゃにして泣いているのを見て、
「あーこの女の子は、花を渡している先輩のことが好きだったのかなあ。
もしかして両思い?デキてる?やっぱ宝塚レズ多いのかなあ。
誰もいない音楽室とかダンス室でこっそり会ったりするのかしら、むふふ」
と、朝っぱらから妄想力を発揮させてしまった。


宝塚の場合は「なんで泣くんだよ!」って突っ込まないのはなんでだよ!
って突っ込まれそうだけど、そりゃ仕方ないよ。
その辺の田舎女子高生の泣き顔と、美しいタカラジェンヌの泣き顔の間には
暗くて深い溝があるのです。