募金

小学生の頃。
街頭募金に出会うと、良く小銭を入れていた。
純粋だったというか、親切押しつけ系だったというか。
一日一善の強迫観念にかられていたのかな。


少しずつひねくれ出した高校生の頃。
24時間テレビに感動したという話をしている人々の前で
「ていうか、24時間テレビの制作費をそのまま寄付した方が早くない?」と
言って、周りの空気を数℃低下させたことがある。


そして今。
私はまず募金の類をしない。
だって、知らない人にお金なんて託せない。
その後のお金の動きをきちんと分かることもできないことが多いし。
冷たい人間だと言われるかもしれないけど、そう思うんだから仕方ない。


こないだ、街の真ん中で募金を呼びかけていた2つの団体がいた。
1つは盲導犬募金を呼びかけるボーイスカウト
もう1つは自分達が出場する全国大会にかかる費用を募る少年スポーツ団体。
それぞれ十数人ずつが列を作って対峙し、
「お願いしまーーーーーーーーっす!!!!!!」
という大きすぎる声で募金を呼びかけていた。
それらの列の間はわずか数メートル。
明らかに通行の妨げにもなっていた。


君たちってば、どこぞの応援部同士でやってる応援合戦みたい。
素直にそう思った。


私が歩きながら観察している間、お金を入れていた人はいなかった。
検証したとは言えない短い間だったけど。
もし「募金したい」と思っても、こりゃ入れにくいだろうなーと思った。
彼らの怒鳴り声の中で、募金するのは少し恥ずかしいし。
両方に入れないと、入れなかった方から冷たい視線を送られそうだし。


「私は盲導犬にしかお金あげたくないんです」
「私は少年スポーツ団体にならお金あげてもいいです」
この状況で募金を続けるのは、こういった希有な人々の善意さえも
踏みにじりかねないのでは、と思った。
お互い時と場所が重なるってことが分からなかったのかもしれないけど。


ボーイスカウトはこういう活動をやること自体が目的だから良いとして、
スポーツ少年に今必要なのは、全国大会へ向けた練習では…。
私だったら「募金活動をやったつもり貯金」して練習したい。
あの方法でかなりお金が集まるならいいけど、そうは考えられないし。


そう思いながら私はいつものように彼らの間を素通りした。