きれいなお姉さん

会社のエレベーターに乗っていると、ドアが開いて、
小学生がどやどやと15人くらい乗り込んできた。
社会見学かな。


4年生くらいだから、女子の方が背が高い。
「どこの小学校から来たの?」
「○○小学校です!」
「これからどこに行くの?」
「○○岳でお弁当です!」


こういった小学生のグループの中には、元気が良くてはきはきした
スポークスマンみたいな女の子が、必ず1人か2人はいるものだ。


と、エレベーターの隅にいた男の子がこそこそ話をしているのが聞こえた。
ノートで口を隠しながら、顔を見合わせてこう言っている。


「きれいなお姉さんがいる!」


なかなかの審美眼を持った男子だ。
そこで、私がちょうど垂れてきた髪をかきあげながら

「そういうことはもっと大きな声で言っていいのよ。ふふ」

と言うと、

「きれいなお姉さんだ!」

と大きな声で言い始めた。しかも4〜5人で。
なかなか素直でよろしい。長崎県の未来は明るい。


ただ、担任の先生が終始無言なのが気になった。
あと、一緒に乗っていた男性職員は、「じゃ」とだけ言って先に降りるし。
ちょっとくらいつっこめよ…。


後で、また小学生グループに遭遇した。今度は道端で。


「きれいなお姉さん!さようならー!」


通行人が振り返るくらいの大きな声で、どうもありがとう。
彼らに手を振りながら、さっきまで荒んだ仕事の話をしていたことを
ちょっとだけ忘れたような気がした。


その話をメー子にしたら
「きれいだなんて言われたの初めてなんじゃないの?」だって。
そんなことありませんことよ。お母様。