タクシー男

アカデミー賞(日本の)のノミネート結果を見た。
キムタクは入っていなくて、壇れいが入ってる。
ねえ、ユミコ。あたし達って普通の人なんだね。


今週はだいぶいいけど、先週はとにかく朝起きれなくて。
毎日毎日タクシーで出勤してた。
金子みすず好きの運転手とか、とにかくナンパする運転手とか、
運転が荒い運転手とか、ずーっと世間話してる運転手とか、
いろんな運転手に遭遇した。


週の終わり頃、いつものようにタクシーに乗ると、
何日か前に乗った金子みすず好きの運転手さんの車だった。
近い内に彼女の記念館にまた行く(何度も行っているらしい)と
前に言っていたなあ、とぼんやりした寝起きの頭で考えていると、
「これ、どうぞ」と後ろ手に袋を渡された。
開けると、金子みすずを紹介したパンフレットが入っていた。


「ありがとうございます。でも、これ…」と私が戸惑うと
「あなたにまた近い内に会うような気がしていたんです」
という答えが返ってきた。


はっきりいって、ちょっと寒かった。
「ありがとうございます。後でゆっくり読ませていただきます」
と答えてはみたけれど。
顔も良く見えていない相手なのにねえ。


少しして、なんだか感心しはじめた。
そこまで人に気を遣うって、あたしにはできないもん。
別におじさんは私を口説こうとしているわけじゃないんだろうけど、
これくらいの気遣いとバイタリティがないと、好きになった人に
振り向いてもらえないんだろうなあって思った。


勉強になりました、おじさん。ありがとうございます。