海馬

子どもは放っておいても育つ。
この言葉は好きだ。
でも、これは最低限のことをしてあげた上で「放っておく」話。


暴力等の虐待を受けた子の脳は、そうでない子に比べて未発達の場合がある。
自分を守るために、脳が受けたくない「刺激」を感じないようにしようと
ホルモンなどが分泌されて、その結果、脳が発達しにくくなるのだそうだ。


でも、もっと怖いと思ったのは、ネグレクトを受けた子どもの例。
「受けるべき刺激」を受けなかった脳は、悪い刺激を受けるのと同じか
それ以上のダメージを受ける。というか、発達しない。


刺激を受けるべき時期は非常に限られているらしい。
その時期に適切な刺激を与えないと、その子の一生は台無しになる。
後でいくら刺激や愛情を与えても、もう間に合わないのだ。


「2歳を過ぎてる子なのに、全くしゃべれないの。
それどころか、人と目を合わせることもできないの。
なぜだか分かる?親が子どもと目を合わせないからよ」


彼らと接したことがある友人の話を聞いていると、
怖くて怖くてたまらなくなる。


生まれたばかりの猫の片目を縫い閉じる実験がある(かわいそうだけど)。
数ヵ月後、抜糸をしても、その目は見えない。しかも一生。
脳も目も視神経もきちんとあるのに、適切な時期にそれらを刺激しないと
一生つながらないままなのだ。


ネグレクトを含む虐待を受けた子どもや、性犯罪を繰り返す犯罪者は
特に海馬が萎縮していることが多いらしい。
海馬といえば記憶とか夢だよね?
サイレントベビーは、寝ている時の頭の中もサイレントなんだろうか?
なんかすうっと背中が冷たくなった。