「愛国の作法」

姜先生が一貫して「小泉前首相から政権を引き継いだ政治家」とか
「『美しい国へ』の著者」という表現をしているのがかわいい。


「悠久の歴史をもった日本という土地柄」への愛着を声高に叫ぶ人々だけが
愛国者」とみなされてしまうのは、これまでの歴史から考えると危険。
そういう愛着ももちろんあって当然だし、間違った考えではないけれど、
近代的な意味での「国家」について考える時、そのことをごっちゃにしたり、
すりかえたりするのはおかしい。
そういう動きが生まれた時(変なスローガンの打ち出しとか)は、きちんと
気づかなくちゃいけないなあと思った。


郷土に対する愛着「愛郷心」は、「愛国心」へ連続的につながっていない。
愛国心」は「愛郷心」の「自然な」延長ではない。
というのも、言われてみりゃそうかもなあって思った。
画一的な「愛国心」を強制する場合、空洞化した実感的な部分を補完するために
郷土教育を説くこともある。「愛郷」と「愛国」は「微妙な共棲関係」にある。
そういうことも意識していないと利用されちゃうかもなあ、確かに。


靖国に関しての記述もわりと面白かったです。
ただ、むすびはちょっと抽象的で、私には分かりにくかった。