過料

昨日、飲んでる時に法律に詳しい人がいらっしゃったので、
前から知りたかった「未登記にかかる過料」について聞く。
まあ会社はともかく、その辺の「一応法人っす!」みたいなとこは、
忘れがちだったり、そもそも意識がなかったり、とか良くありそう。


「法人の登記は義務。それを果たさないなら過料は当然。
じゃないと制度自体が形骸化しちゃうでしょ」
「いくら良い活動をしている団体でもダメですか…?」
「ダメ。まけてあげない」
まあ、おっしゃる通りです。


以下、自分のためのメモ。
法人の種類が少し混ざってるな。まあいいや。

●登記義務とその違反


法人については登記義務が課されており、怠ると過料に処せられる。
登記によって効力が発生する「設立」以外にも、役員変更(一番多いかな?)、所在地・名称・事業内容の変更時など、登記申請が必要な場面は多い。


登記義務違反は民法第84条の3「過料に処すべき行為」にあたる。
過料は50万円以下。
34条法人はここをそのまま読めばいいのかな?同じ民法だし。
労働組合法あたりも民法を準用しているから同じかな。


NPO法人(根拠法:NPO法)→20万円以下(49条)
※株式会社(根拠法:会社法)→100万円以下(976条)やっぱちょっと高い。


※「役員の再任の重任」を怠って過料に処せられる会社が増えている。
取締役等が新任または任期満了で辞任した場合はもちろん、再任された場合も「任期をむかえて一旦退任して改めて再任された」と解されることから「重任」の登記が必要。つまり、役員の任期毎に役員全員についてなんらかの登記が必要。また所轄庁に対しても「役員変更届」として届け出ることが必要となる。

●過料に処されるまで


代表者の住所地を管轄する地方裁判所が、登記の過料事件について管轄を有する。
過料に処すべき登記懈怠や役員選任懈怠を発見した登記官が管轄裁判所へ通知する。


登記申請時に法務局で「これは過料になる」と予め言われる場合があるらしく、それによって勘違いをしている人もいるが、実際に過料に処すか否かは、裁判所が決する。


※登記官が発見するのは、遅れていた登記申請等を法務局にした時が多いが、その他にも、増資登記などを行った際に、役員変更等についての未登記や、退任で欠員が生じたにもかかわらず選任をしなかった点(選任懈怠)が一緒に見つかる例もある。怖いよぉ…。


つまり、過料事件を通知するかどうかは法務局の裁量。
過料に処すかどうかは裁判所の裁量。


登記官から通知を受けた裁判所は、国民(公益)の代表者である検察官に過料に処すことに関して意見を求めたうえで、過料に処する決定をし、その決定を本人(代表者である役員)に送付する。
本人の言い分を予め聞く機会はない。不満がある時は異議の申し立てができるが、多くの場合認められない。


※過料は「1年2万円」が目安と書いてあるとこがあったけど、これは本当?

●過料に処されたら


会社の場合、過料決定の通知は該当期間に在任していた代表取締役あてに送付される。
(その人が死んでた場合はどうなるんだろ?)
会社法では、取締役は会社との委任関係により登記義務を負うとしているので、過料は代表取締役の負担となる。ああ、善管注意義務


ただし、このような場合、過料は会社が支払うこともある。


※この場合の税務上の話
過料は損金に算入しないので、会社が肩代わりした過料は損金不算入となり、この場合は役員等への臨時的給与として課税されることはない。(法人税法基本通達9−5−5(役員等に対する罰科金等))


まあこれは「会社(法人)が肩代わりすること」をクリアした後の話。これって普通認められるんだろうか?この事例についてもう少し知りたいな。