タイムラグ

先日、ひょんなことでお知り合いになった人をゲストに飲み会。
仕事を抜け出して行き、戻るつもりだったので
お茶やコーヒーでつなぐ。


途中で「今日戻っても無駄」ってことが分かったので、
そのまま居座る。居直る。


ゲストが、「今享受している幸せを存分に楽しめ」ということを
お父様から言われた、という話をした。
あ、私も似たような経験がある、と思った。


大学生になってからしばらくした頃、父から手紙が届いた。
「君は行きたい大学に合格し、これからとても楽しい生活が待っている。
でも、君は、君と同じ年代に、大学に行きたくても行けず働いていて、
君が生きる社会の一部を彼らが支えていることを決して忘れてはならない」
ということが書いてあった。


だから私は自分の幸せを噛みしめながら、生活を楽しみました。
そう私が言うと、彼が
「でも、そう思えるまでにタイムラグなかった?」
と言った。
「幸せな自分に違和感というか罪悪感を感じてしまい、
素直に楽しむことができない。そんな期間が僕はあったよ」


それで思い出した。
私はその手紙を読んでぽろっと涙が出て、その後しばらく落ち込んだ。
先輩にその話をして、
「君がそう感じたことを忘れないで、毎日を楽しめばいいんだよ」
と言ってくれるまで。


「うん、確かに。私もそうだった。タイムラグあった」


「最近の学生さんもみんなそうなんだよ。後ろめたさを感じてる。
スポンサーの親が思ってるほど勉強してないことは自分が一番良く知ってるし。
何かしなきゃっていう強迫観念にかられ、でも何もできない自分を責めてる。
身近な幸せを楽しむのって難しいのかなあ。
みんな何かしなきゃって思いすぎなのかもね」


って、ものすっごい「何か」をやってる彼がにっこり笑って言った。
なんかまいっちゃうよなあ。