肯定

私の地元は、公立高校受験の時期を迎えた。
この時期になるといつも思い出すことがある。
前にも書いたことがあるかもしれないけど、私が受験生の時の話だ。


私は数学で失敗をした手応え(?)があり、絶対落ちたと思っていたので、
合格発表の時に自分の受験番号を見つけた時には、べそかいてしまった。
そんな私の姿は、取材に来ていた地元テレビ局の格好の餌食。


で、色々聞かれたけど、実際流れたのはこの部分。
「誰に一番早く伝えたいですか?」
「塾の先生です」


私はほんとにおぼこい中学生だったので、
その時のto doを正直にそのまま伝えたんだな。
・一番に伝えたいのはもちろん親だけど、2人も仕事中だから、
 結果は夕方帰宅してからでいいと言われていた(この辺クール)。
・学校には今から行って伝えるからそれでいい。
・塾には今日行かないので、とりあえず電話連絡しろと言われていた。
で、「塾の先生です」。


ところが、ちょっと面倒なことに、私の父は私と同じ中学校の教員だった。
この放送を見た他の教員が大騒ぎをして、職員会議を開いたらしい。
「塾の先生に負けないようにしないと」と嫌味を言われまくったらしい。
職員会議の話はこないだ初めて聞いた。


でも、当時も自分がまずいことを言ったせいで、親が困ってたことは
薄々気づいていた。
どうしよう…とあれこれ悩んでいた時に、親がこんなことを言った。
「私達は事情がちゃんと分かっている。あなたの発言の意味がね。
だからあなたは何も心配しなくていいんだよ」
この一言で当時の私はどれだけ救われたことか。
微塵も責められることはなかった。


こないだ友人が、
「人間は何歳になってもありのままの自分を肯定されたいもの。
それによって勇気を得られることっていっぱいある」
そう話してくれた時、あたしはこの話を真っ先に思い出した。


あの時親が私を一切責めず、全面的に肯定してくれたから、
私はその後も公で発言する勇気を失わなかった。
同時に、自分の頭でいろいろ考えたおかげで、慎重に発言することの
重要さも学んだ。特に促されるわけでもなく。


絶対的に自分を肯定してくれる存在。ありがたいもの。