5年

朝、会社で広げた新聞の日付を見て気づいた。
もう、5年経ったのか。


5年前の今日は、ボジョレ―の解禁日だった。
その前日、ちょっとした知らせを聞き、出張先からとんぼ返りして、
本当に壮絶な夜を過ごし、明くる日、いろんな事務的な手続きを済ませた。
その帰り道、ファミマで買ったシュークリームを食べて以来、
私は数か月間、甘いものを一切食べなかったっけ。


心にぽっかりと穴が開いたようなあの夜、知人から誘われるまま、
私はワインを飲みに行った。
彼らは2次会に行ったけど、私はそんな気になれず帰宅の途についた。
そして、歩きながら電話をして、号泣した。


あたしはあの頃一人で良く泣いていたけれど、
本当に号泣したのは、あの時だけだ。
家族や親戚の前で泣いたことは一度もない。


しゃくりあげながらも真っ暗な夜道をきちんと歩いて家に帰れたのも、
その後数ヶ月にわたり前向きに生きれたのも、すべて、大切な友人たちが
代わる代わる支えてくれたおかげだ。本当にありがとう。


あんなに苦しんで、どんどん弱って痩せていく人間と対峙することも、
まともに口をきけなくなるほど、家族と対立したことも初めてだった。
でも、そんな中にあっても、みんなのおかげで自分の考えに自信が持てた。


残業帰り、日付けが変わる前に急いでメー子に電話をした。
「良くもまあ5年も生き延びたわね。もう十分でしょ」という私の憎まれ口に
「ほんとよねえ」というのんびりとした答えが返ってきた。
頑張ったのは、私じゃない。この人だ。