抱きしめられる


今日、ふいに人から抱きしめられた。
私が自分自身についてネガティブことを言った直後だった。


「あなたは素敵な人だよ。大丈夫だよ」


その人は私のことを抱きしめながら、そんなことを言った。
「素敵な人」だなんて言われても意味が分からないし、
とりあえずくふくふと照れ笑いでごまかして、離れようとしても、
その人は「ぎゅっ」をしばらくやめてくれなかった。


今まさに自分の命を絶とうとしている人も、
この抱擁だけで思い留まれるんじゃないだろうか。
「ぎゅっ」をされている時にそう思った。
それくらいあたたかかった。


やっと抱きしめることをやめた後も、その人は私の肩を握っていた。
ずっと、力強く、でも優しく。
触れられているところがとてもあたたかかった。


最近私はやさぐれることが多い。
でもそれは、本当の本当ににやさぐれていたわけではなく、
やさぐれた方が生きやすいから。
生きやすくするための防御本能だったんだな、と思った。


ピュアすぎると生きにくい。
だから少しの防御は必要。
でも、ピュアさを完全に失っちゃいけない。


見かけがどれくらい汚れちゃっても、きれいでいよう。
一番きれいな水で心をひたひたにしておこう。


抱きしめてくれて、ありがとう。