ドミノ

やっぱり空港近くのホテルに泊まって良かった。
近いだけでなく、部屋がきれいで朝食も良かったし。
そういえばバイキングでサンドイッチってあまり見ない。
目の前で作ってくれるサンドイッチがおいしくて、おかわり!
連日の5時起きで少しぐったり気味だけど、食欲は旺盛。


朝1便の飛行機で帰る。
新聞読んでからブランケットにぐるぐるにくるまって速攻寝る。
一度目が覚め、「おめざめですか?」シールが見えた直後に
CAさんが「お飲み物はいかがですかぁ?」と声をかけてくれたので
烏龍茶をもらってまた落ちる。
今考えると、結構疲れてたのかもしれない。


着陸が迫った頃、天候が悪くて飛行機が揺れて目が覚める。
近くに座っていた老夫婦の会話が耳に入るようになった。
諫早湾干拓の様子が窓から見えるようだ。


「あ!あれよ!なんとか干拓!」
「なんだっけそれ?」
「ほら、あったじゃない、ほら」
「え、何?」
「えっとー、ほらー、ドミノ倒し!


ドミノ倒しだったら水漏れるだろうがよ。
※正解は「ギロチン」ね。


あれは平成9年だから、私はまだ大学生3年生か。
地元の様子を肌で感じることはなかったし、テレビも持っていなかったため、
わりと整理した情報にしか触れられなかった。

それでも?だから?良く分からないけれど、あの時のマスコミ、
特にキー局のテレビ報道には納得がいかなかった。
なにその扇情的な報道のしかたは?って思った。
私は諫早湾干拓事業自体に賛成なわけではなかった。
ただ、あの「ギロチン」まではほとんど無関心に近かったマスコミが
一気にお祭り騒ぎを始めたことについてとても違和感を覚えた。


しかもフォローがお粗末すぎる。マジで無責任すぎる。
今だって何かあれば、思い出したようにギロチンの映像を流すだけ。


権力と民衆、それは強いものと弱いもの。
強いものをくじき、弱いものを助けるのが正義である我々マスコミである。
そんな構図を意識した報道が多かったような気がするのだけれど、
あれだけやれるってことはあなた方も強い方になるでしょうが。
そう思った。


私は昔マスコミに対して何かしら幻想を抱いていたような気がするのだが、
あの時それを最初に壊してもらえた良い機会だったように思う。